photo by 二郎は鮨の夢を見る
年末年始にiTunesStoreで、映画のディスカウントセールをやっていた時に二郎は鮨の夢を見るをダウンロードしてすっかり忘れてました。
週末に思い出して、慌てて観たのですが、あまりにスティーブ・ジョブズ氏やAppleに似たところがあったので、記事にしました。
まぁ、Apple好きの戯言だと思って、お時間があればおつきあいください。
シンプル
この銀座に店を構える鮨屋、すきやばし次郎のドキュメンタリー映画です。
この店は、ミシュランの三つ星をアジアで初めて受賞、それを7年続けるほどの名店。
店主の小野次郎さんが握る鮨は、余計なことはせず、非常にシンプルだといいます。
店のシステムもシンプル。
10席しかないカウンターに座ると、その日に出せる最高の鮨をひたすら次郎さんのお任せコース、20カンの鮨が次々と出てきます。
食べるのが早い人なら約15分で食べきってしまうとか。
しかし、鮨はシンプルでも、カウンター越しに男女に合わせてシャリの大きさなどを変え、また座ったお客さんが左利きか、右利きかによって、鮨を取りやすいように置く場所や方向を変えるそうです。
昨年の流行語となった、お・も・て・な・しとはこういうことを言うのかもしれません。
自分の仕事に真摯に向かい合い、製品作りを深く掘り下げる。
これが、Appleに通じるような気がしました。
イノベーション
鮨は古くからあるものですが、昔と同じ事をしようと思っても、時と共に仕入れることができるネタは変わります。
昔いっぱい取れたハマグリなどのネタは、良いのが少なくなったそうです。
時代や周囲の状況に合わせて鮨も変化し、革新を続けていかなければ、古い物を守れないとのこと。
古い物を守ろうとすれば、常に変化し続けなければならないのです。
変化できなければ、廃れていくだけ。
斬新な目新しい物を想像する事だけがイノベーションでは無いと感じました。
顧客満足度
顧客満足度で高い評価を得るAppleですが、当然ながらこちらの鮨もお客さんの高い評価を受けています。
私は、鮨のシャリは冷たい物だと思っていましたが、一番美味しいのは人肌の温度だそうです。
なので、このお店では客が来る時間に合わせて釜で米を炊き、シャリを作り、客の前へ出すときにちょうど良い温度となるように、おひつの中で保温するそうです。
YouTubeにあった他の動画では、鮨において、ネタとシャリの重要度のバランスは、ネタが4分でシャリが6分、ネタがそこそこでも、シャリがしっかりしていれば美味しく食べられるとのこと。
私にはこの話、 “ネタ“ がAppleのデバイスにおけるiPhoneなどの”ハードウエアの性能“、 “シャリ“がApple製品における使い勝手を含めたソフトウエアを連想させました。
ハードウエアの性能ばかりではなく、大切なのはソフトウエアを含めた使い心地が良いことが、顧客満足度に繋がるのではないでしょうか。
また、蛸のぬめりを取るために、職人が手で塩揉みを40分はするそうです。
そうじゃないと柔らかくて美味しくならないとか。
ここまで徹底してこだわるからこそ、早ければ15分で食べきってしまう鮨に人は3万円以上(仕入れ具合による時価)も払うのでしょう。
後継者
スティーブ・ジョブズ氏が亡くなり、後継者としてティム・クック氏がCEOを務めているApple。
すきやばし次郎でも、銀座の店は長男の禎一(よしかず)さん方が後継者。
映画の中で関係者は、あまりに先人の二郎さんがインパクトが強いので、後を継ぐ禎一さんはとても苦労するだろうと言うのです。
禎一さんが、 二郎さんの2倍は頑張って、彼を抜いて初めて周りの人は二郎さんと同程度だと認めるのではないだろうかと。
この辺りが、今のAppleと似ているような気がします。
クックさん、頑張れって!って気持ちになりました。
ちなみに、一番最初にミシュランの三つ星を受賞した際の審査員は、一口も二郎さんの鮨を食べてはいないことが後で判ったそうです。
全て、長男の禎一さんが握った鮨。
(ご存じのとおり、審査員がいつどの店に行くかは極秘で審査します)
誰が握ろうが、同じ品質を維持する。
これが個人ではなく、店として提供するサービスなのでしょう。
まとめ
面白いのは、このドキュメンタリー映画を撮影したのが、アメリカ人の監督だということ。
そして、最初はニューヨークのたった2館の映画館で上映され、口コミで火が付いて大ヒットしたというのも興味深い。
それにしても、二郎さんが握った鮨を食べた時のお客さんの美味しそうな顔が忘れられません。
自然と笑みがこぼれていました。
二郎さんも、スティーブ・ジョブズ氏も自分の作った物で人が笑顔になる。
この笑顔が観たいために自分の仕事に生涯を捧げている(捧げた)のではないでしょうか。
今年で、二郎さんは映画出演時に85歳、未だに夢の中で美味しい鮨を思いついて飛び起きることがあるとのことでした。
スティーブ・ジョブズ氏は、56歳で亡くなりましたが、この先の未来にどんな夢を描いていたのでしょう。
やはり逝くのが早すぎたとの思いが、私の胸に湧き上がりました。
良きAppleLifeを。
あー!旨い鮨食べたい!(>_<)
Written by Metal(@Metal_mac)
参考:【ヒュー・ジャックマンも惚れた】寿司職人「小野二郎」の仕事哲学【海外で大人気】 – NAVER まとめ
二郎は鮨の夢を見る
カテゴリ: Documentary
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